GM?パクっちゃえばいいじゃん!その2

この記事は、TRPG:GMになろう Advent Calendar 2015の第2日目の記事として書かれました。


前回の続きですぎょん。うひー遅刻遅刻。

実際にTRPGのシナリオ制作においてパクりというテクニックをどのように使えばいいのかという話をしていきます。

全部パクるな パーツに分けろ

私の考えるパクりの最大のコツはこの一言に集約されます。元ネタを完全にTRPGのシステム上で再現しようとするのではなく、あなたが最も必要としている要素は何なのか考えてそこだけ頂いてくるべきです。

これは何も盗作のそしりを避けるための方便ではありません。TRPGのシナリオとそれ以外の創作物には決定的な違いがあり、そのまま持ってくると齟齬を起こす危険性が高いからです。

その違いは特にストーリーやシナリオの難易度に現れます。TRPGではキャラクターがクリアに向かってどう行動するのかは映画のようには決まっていません。デオゲームに比べればシナリオの再挑戦にかかるコストは異常に高いです。対戦型のボードゲームと違って通常のプレイでは”敗者”は存在しません。

(私はシノビガミのPvPで忍務が達成できなくてもセッションを楽しんだならそれは勝ちだと思います。悪役慣れしすぎ?)

すなわちTRPGのシナリオは他と違い「万人が」「初見で」「クリアできる」べきであるという地味に重い枷を課されているのです。

この制約下でシナリオを組むにあたって私が気をつけているのはシナリオに遊びを設けるということです。遊び心を持ってジョークを入れるという意味じゃないですよ。シナリオの各所各所に余裕を持たせるということです。敵の強さ、イベントの分岐、NPCの設定etc.についてストイックになり過ぎない。プレイヤーに選択の余地を与えると言い換えてもいいかも知れません。この「遊び」は丸パクりのシナリオでは生み出せません。

あと、第1回でそもそも自作シナリオの方が手になじんでセッションに使いやすいから自作すべきって話を枕にしてるのに丸パクりじゃその利点の恩恵に与れない訳ですしねー。

こんなパーツをパクろう

ではここからは実際に映画や小説、マンガ、ゲーム等からどんなパーツがパクれるのか見ていきます。

キャラクター

パクるためのパーツとして比較的捉えやすい要素です。外見、戦闘スタイル、口調、名前など更に細かいパーツに分けて再構成することもできます。

特に悪役の口調は引出しが多いと特に設定を考えていなかったモブゴブリンなどにとっさにセリフをしゃべらせやすくなります。

世界

世界観を丸ごと持ってくるのはパラレルワールドを行き来する設定のシステムでもなければ難しいですが、比較的近い設定の作品から取ってくるのであれば「そういう街」「そういう法律」「そういうマジックアイテムが発明された」の一言で説明が付く場合も多いです。

あと特に小説に言えることなのですが、使えそうな情景描写はストックしておくと良いでしょう。見た目の違いに訴えかける描写はシナリオの雰囲気を知ってもらういいチャンスになります。シナリオのファンタジーっぽさ、SFっぽさはここにかかっていると言っても過言ではありません。

ストーリー

これもさらに細かいパーツに分けて考えることでパクりやすくなります。

例えばNPCの行動の動機、カッコいい演出、どんでん返しのトリック、プレイヤーキャラクターの導入イベント、条件戦のネタ(「火薬庫での戦闘だから火気は使えない!」とか)などなどです。

条件戦の変わり種としてシナリオの構造に関わるようなギミックもあります。「悪徳大臣を倒したいけど著名人だから襲ったらただの犯罪になっちゃう。まずは告発できるような証拠を押さえなければ!」とかね。

またキャラクターもそうなのですがストーリーは「見た目だけ変える」というパクりテクニックが有効に働くポイントでもあります。四十七士を代わりに「正義漢のCEOが政治対立に負けたせいで法整備で解散させられたPMCの残党」とかなんとか言っておけばサイバーパンク版忠臣蔵の出来上がりなわけですよ。

ことストーリーやそのプロットに関しては意外とジャンルの垣根を越えてパクれてしまうので、「この要素をファンタジー世界に置き換えるとしたら何だろうか」っていう妄想をしたりしておきましょう。

システム

多くのTRPGシステムには単純な判定を組み合わせてより複雑なシチュエーションをシナリオに組み込む指針が示されています。例えばターゲットレンジシステムやフォーカスシステムがあり、ログ・ホライズンTRPGでもミッションがその立場を占めています。

しかしこれで物足りない場合はより状況に合ったシチュエーションルールを自作する、という選択肢もあります。そんな時にTVゲームやボードゲームからシステムをパクってくることでよりお手軽によりゲームゲームしたシチュエーションルールを用意できることがあります。

具体的なジャンルで言うと最近のアドベンチャーゲームは「単に選択肢を選んで文章を読むことの繰り返し」からの脱却を図っているためシティアドベンチャーシナリオに変化を付ける時の参考になることが多いです。

パクり力の向上のために

パクりにはシナリオ作成を簡単にする力がありますが、他のシナリオ作成のテクニックと同様にパクりにも上手い下手というものが存在します。すなわち「今シナリオ作成に必要なパーツをどれだけ的確・適切にパクってこれるか」というのが問題になってくるのです。

パーツ選びに関しては筆者の私も勘とその場の巡り合わせでやっている所が多く文章としてアドバイスにするのが難しいのですが、その大元、パーツのストックを増やす方法は簡単です。単に好きなマンガや映画や小説やゲームをパクり手の視点で見れば良いのです。

自分が面白い!カッコいい!と思った時にその面白さ・カッコよさはその作品のどんなパーツから来ているのか分析し、自分が将来書くTRPGのシナリオにもしかしたら使えるかもしれないと心のダンボール箱に入れておくというのを繰り返しましょう。

まとめ

  • TRPGのシナリオはどーせ低リスクだからパクって書いてもええんよ
  • パクって書くのはお手軽だし結果として地力もつくからオススメだよ
  • まるごとでパクるとTRPG独特の制限のせいで故障しやすいから細かくパーツに分けてパクろうね
  • ちょっと頭使ってマンガ読んだり映画見たりするとパクりネタのストックを増やせるよ