GM?パクっちゃえばいいじゃん!その1
この記事は、TRPG:GMになろう Advent Calendar 2015の第1日目の記事として書かれました。
まえがき
いきなりですが私ライアーノーズは「たとえ初めてのゲームマスターであったとしてもシナリオは自作した方がいい」派です。なぜなら出来合いシナリオを使うのに比べて、必ずシナリオの細部まで理解が及んだ状態でセッションを始めることができるという利点があるからです。
これにより
- シナリオ中に出てくるギミックやエネミーデータについてルールブックのどこを参照すればいいか分からない。
- 書いてあるNPCのセリフが意外とこっ恥ずかしくてロールプレイできない。
- あるシーンがシナリオ中に現れる流れを理解してないのでイレギュラーな展開について行けない。
といったシナリオを熟読していないことによる落とし穴をかなりの部分避けることができます。
しかしながら、見ず知らずのシステムでシナリオを自作するというのが高いハードルであることも事実です。「TRPGのシナリオを作る」ということに全般に関しては氷川TRPG研究室さんとこの読み物というめっさ役に立つ先行文献があるのでまずはそっちを読んでもらうとして、私はもうちょっと卑近な切り口で話をしてみようと思います。
まず今回はこの記事のタイトルにある通り「TRPGのシナリオは既存の何かを真似して作っても良い」という話題です。もちろん法に抵触するようなガチの盗作はいかんのですが、今回は記事タイトルのインパクトを重視して上記のような「既存の何かを真似する」行為のことを「パクる」と表現します。
まずは心構えの話
まずどうやってパクるかとかそういう話の前に、パクることに対して罪悪感を覚える必要はないという話をしますね。
理由1 みんな多かれ少なかれパクってるから
主語が大きな話になりますが、ありとあらゆる創作活動は創作者がそれまで見聞きしたものの組み合わせでしかあり得ません。それはTRPGのシナリオでも一緒です。実際に経験したことが元になってたり、元の要素を細かなパーツに分けて組み合わせたり、ほぼ無意識に持ってきてたりすることで元ネタを追うのは極めて難しくなりますが、基本はそれまでに見聞きした何かを組み合わせているだけです。
もうちょっと具体的な話をすると、例えばTRPGシステムの世界観なんかは露骨なパクりが横行している部分です。『サタスペ』、『永い後日談のネクロニカ』などは商業作品ですがイメージソースとなっているマンガや映画の名前が直接ルールブックに挙げられています。あとはNPCの名前を実在のアーティスト等から持ってくるなんてのもよくある話ですね。
理由2 パクってもバレないから
パクりに対するネガティブなイメージというとイラストレーターやデザイナーのトレス騒ぎがあると思うのですが、ことTRPGのシナリオでそんなことはまず起こりません。TRPGのシナリオを広く公開することがそもそもあまりありませんし
(もちろんやっていいんですが。というかもっと増えて欲しいんですが。)
TRPGのシナリオでないものをパクってTRPGのシナリオを書いたなら出来上がったものは元とはかけ離れた表現を取っている新たな創作物です。
もっと言えばTRPGのシナリオをパクってTRPGのシナリオを書くのも実は日常茶飯事です。ルールブックのサンプルシナリオはパクるために載っている言っても過言ではありません。
むしろオマージュの意味でパクってきてるのにプレイヤーが誰もそこに気付いてくれなくて若干寂しい思いをする、という状況の方がよく見かけます。
パクるとここがおトク
ここまでパクることのデメリットってそんな大きくないよという話をしたので、パクることのメリットの話もします。
コストが低い
一般に自分の実体験や原典情報からシナリオを組み立てるよりも何かを真似ることの方が圧倒的にラクです。
例えば海洋冒険キャンペーンをやろうとして主人公たちが乗り込む船について考えなければならなくなった時に、実際に船を見に行って様子をスケッチするよりも図書館で図がたくさん載ってる船の本を借りてくる方がラクですし、本を借りてくるよりたまたま手元にワンピースの単行本が揃ってて「ゴーイングメリー号と同じ間取り・あと適宜調整」の方がラクならそうしちゃえばいいのです。
GMがプレイヤーと比べてコストのかかる役割であることは事実なので、ラクができそうだと思うポイントに関してはラクをしてしまうのがあまりの労力で心が折れないようにするコツなのです。
自作の時の勉強になる
「まなぶとはまねぶ」とはよく言ったもので色んなものをパクっていくうちにシナリオ作成の地力が付いてきます。
人間が自分一人で思いつけるものの量はたかが知れているので、より積極的に先人の知恵を拝借するためにもパクりは有効です。
特に「TRPGのシナリオを作る」という分野はイラストなどの他の分野と比べて丁寧な入門書に乏しいので、師匠の技を見て盗むとかそういうアナクロな感じのことをいまだにやらないといけないというちょっと悲しい現実があるわけですよ。
また、積極的にパクるようになると常に「これはパクれるかもしれない」という目線を持つことになるのでマンガを読んだり映画を見たりしてる間も作品を分析し続け、より無理なく四六時中GMぢからを鍛えっぱなしにできます。
とりあえず今回はここまで。えらい後ろ向きな内容になってしまったので続きに書くことの予定を並べときます。
- パーツにバラしてパクれ
- いろいろなパーツ
- 見た目だけ変えてパクれ
- パクり力向上にはとにかくインプットを増やすのが一番