殺しやすい敵の話
この記事は、TRPG:GMになろう Advent Calendar 2015の第8日目の記事として書かれました。
はい、またインパクト重視でタイトル付けてますが要するにGMとしてはちゃちゃっと殺しちゃって欲しいのにプレイヤーが情に目覚めちゃう問題の話です。
TRPG界隈だと「善良なゴブリン問題」とかって呼ばれてるアレに近い話ですね。GMとしては殺しちゃって欲しいと心が決まっている点で少し違いますが。
そもそも殺せない敵の何が問題なの
「セッションが停滞するから」です。
パーティ内の意見が殺す・殺さないで割れると倫理問題の議論に発展するため、まず結論は出ません。たとえ殺さない方向に意見が統一されてもGMがそのようなパターンを想定していないとまたこれが議論を呼びがちです。(「街の衛兵に突き出したら?」「間違いなくその場で処刑だろー」「前出てきた隠れ里でかくまって貰えば…」「交渉材料がないよなあ」)
もちろんその状態をセッションの参加者全員が楽しめているのならいいのですが、シナリオをちゃんと用意していったのなら道筋はどうあれ終着点にたどり着かせたいのがGM心情でしょう。そのためにもプレイヤーたちにはすっぱり殺ってしまってもらいたい。とゆーようなシチュエーションの話をしていきます。
なんで殺せない敵が出てきちゃうの
「殺さないルートの存在が否定できないから」です。
人間だれしもゲームにハッピーエンド・トゥルーエンドへの分岐があればそちらを選びたくなってしまいます。ここで言うなら「モンスターとも和解して誰も死なないルート」の存在を誰も否定してないゆえに、あり得ないとは思いつつもそのセンを能動的に消す決定もできないためモンスター生存ルートを探ってしまう、というのが殺せない敵発生のよくあるパターンに思います。
(ハッピーエンドへの圧力というのは結構強力で、例えば対立型のシノビガミシナリオで隠しとして協力型ルートを用意すると体感ではかなりの割合がそっち行っちゃう。)
じゃあ「殺しやすい敵」ってどんなのがいるの
逆に言えばGMの方から「こいつは絶対殺さなきゃだよ」と教えていけば殺せない敵問題のかなりの部分は解決するはずです。
敵のストーリー上の設定で2つほどよく使われるパターンがあるので見ていきましょう。
その1 存在悪パターン
ダブルクロスにおけるジャームやアルシャードシリーズの奈落の勢力、各種ファンタジー世界の悪魔など、その出自や性質が変えがたく敵対的でもうどうしようもないというパターンです。
この方法は最初に世界設定に組み込んであればあとはそれに合わせるだけで殺しやすい敵を量産することができるのでお手軽なのですが、サプリメントや関連書籍で例外や新規の設定が増えるにつれてその絶対性が崩れることがままあります。
特に顕著なのがモンスター種族をプレイヤーキャラクターとして使えるようになる場合で、SW2.0の蛮族やD&Dシリーズのオークやドラウはこれに該当するでしょう。この辺りの奴らを使うときはプレイヤーキャラクターから説得が飛んでくる可能性があり要注意です。
その2 狂信者パターン
宗教に限らず個人崇拝や深い怨恨などとにかく大前提からして思想が違いすぎててあらゆる心変わりが期待できないような敵というパターンです。
これは存在悪パターンに比べてある程度踏み込んだ設定を用意してやる必要がありますがほぼどんな時にも使えるのが利点です。
ちなみにこれは単に邪教を信仰していればいいかと言うとそうでもないので気をつける必要があります。例えばパスファインダーRPGだと悪神で地獄の支配者たる高位悪魔アスモデウスを信仰しているキャラクターがコンベンション向きのレギュレーションとして公式から提示されているソサエティプレイに持ってけたりしますしー。
番外:殺せない敵ができちゃったら
とりあえず手段を問わず逃げて一度シナリオから退場させてしまうのが簡単かつ確実な対処法です。GM権限を振りかざして森に逃げたり隠し持ってたテレポートトークンを使ったり精神だけ電脳世界にダイブさせたりしましょう。
まとめ
- 「殺せない敵」のせいでセッションが止まっちゃうのはもったないよ
- 殺す以外の選択肢を設定で奪ってしまえば「殺せない敵」は存在しなくなるよ
- 最悪その敵を無理矢理シーンから退場させれば脱線からは戻れるよ
次は一日空いて@mori_trpg氏の「Will Be Game Master*Phase 2:シナリオの種」ですね。
パクりの伝道師であるらいあのは大体その時読んでたマンガがダイレクトに効いてくることが多いですが、はてさて。